脳神経外科
当科は、主に東北大学の脳神経外科教室からの数多くの先生方の応援を得て、福島県浜通り中部から茨城県北部にかけての頭部外傷・脳血管障害(主として出血性疾患)をはじめとした急性期医療を担い、日本脳神経外科学会認定の専門医指定訓練施設(A項)として活動しています。最近は近隣の脳神経外科施設の機能縮小のため、地域における当科の重要性が増してきています。現在は4名(うち専門医3名、専門医のうち2名が常勤で他の2名は東北大学からの派遣医師)で診療を行っています。外来は月・水・金曜日の午前で、午後は検査、火.木曜日は手術日となっています。
しかし、当科疾患の特殊性から、救急患者は特殊事情がない限り、救急医療部と連携をとりながら時間外でも診療を行っております。主として急性期の外科的治療を行っておりますので、亜急性期あるいは慢性期になった患者さんは、リハビリテーション施設や長期療養型病院への転院を積極的に進めさせていただくことになります。
平成18年は退院患者総数509名、手術症例は脳動脈瘤58例、脳腫瘍10例をはじめとして、総計206件の手術を行っています。手術はその約2/3が臨時・緊急手術であり、入院患者もその約9割が緊急での入院です。
以下に当科で扱う主な疾患の概略を記します。
①脳血管障害
くも膜下出血・脳内出血など、主に出血性脳血管障害を当科で受け持っております。- くも膜下出血は、脳の動脈に脳動脈瘤という血管の小さなこぶができてこれが破れて出血することにより発症します。 脳動脈瘤があっても精密検査を受けない限り見つけることはできません。 軽い頭痛から突然死まで非常に多岐にわたる症状で発症しますが、突然に激しい頭痛で発症するのが特徴です。当施設では患者さんの状態を見て手術に耐えられる方には積極的に開頭動脈瘤クリッピング術を施行しています。 血管内手術でのコイルによる塞栓術という手術法もありますが、当科にはそれができる専門医がいないため、必要な場合それができる施設に紹介しています。
- 脳内出血は、脳の細い血管が切れて脳の中に出血が起こる病気です。
高血圧の方によくみられますがそうでない場合もあります。
出血が脳を壊すので手足の麻痘、しびれ、言語障害、意識障害などの何らかの症状を伴うことが一般的です。
手術をしないで治療することが多いのですが、出血の大きさや場所によっては開頭手術や穿頭手術をして血腫をとることもあります。 - 虚血性脳血管障害は、脳への血流を保つ血管の閉塞や狭窄により、血液が十分に流れなくなってしまった状態のことです。
血液が完全に途絶してその先の脳細胞が死んでしまった時を脳梗塞、そこまでは行かなくても脳に十分な血液が流れていない状態を脳虚血といいます。
脳梗塞になってしまったところは回復しませんが、その周辺の脳虚血にさらされている脳細胞を助けてあげることが治療になります。
当院では、その治療は主に内科にお願いしておりますが、脳に行く頚部の血管(頸部内頚動脈)が動脈硬化により極度に細くなっている場合には、当科で手術をして血管を広くする方法もあります。
②脳腫瘍
代表的なものとして神経膠腫・髄膜腫・聴神経腫瘍・下垂体腺腫などがあります。腫瘍の種類や状態を十分に検討し、手術による摘出を行ったり、放射線療法や化学療法を行ったりします。
腫瘍の状況や患者さんのご希望により、適宜大学病院などに紹介して治療を依頼することもあります。
転移性脳腫瘍の大部分の患者さんたちは原発巣の治療を担当している科の先生方に治療をお願いしますが、ごく一部の患者さんでは開頭手術を行うこともあります。
近年その有効性が知られているガンマナイフによる治療(腫瘍に線量を集中させ正常脳への被曝は少なくすることができます)は、当院にその機器がないため、その専門の病院に紹介させていただいております。
ガンマナイフによらない通常の脳への放射線療法は、東北大学病院からの応援の放射線科の先生との相談により、当科にて行うことが可能です。
③頭部外傷
一口に頭部外傷といっても、ちょっと頭をぶつけたものから、大事故で意識障害があり、また全身の多発外傷を伴っているものまでさまざまです。当院は救命救急センターが併設され、救急専門医が初療にあたり、多発外傷に関しては各科の専門医も診療を行います。
頭部外傷がメインの場合、当科で治療を行っております。
意識障害がある場合には頭蓋内に大きな脳挫傷や血腫などの脳を圧迫するものが生じている可脂性があり、必要に応じて緊急手術を行っております。
(付記)高齢者やお酒をよく飲まれる方は頭を軽くぶつけてそのときはなんともなくても数週間から6ヶ月くらいたってから、頭痛をきたしたり、手足の麻庫が徐々に進行したり、認知症のような症状が見られてくることがあります。こういう場合、慢性硬膜下血腫ができている可能I性があります。この病気は局所麻酔で頭に小さな穴を開け(穿頭術)、血腫を排出することにより治癒することがほとんどです。なるべく早く外来を受診されることをお勧めします。
④小児の脳疾患
当科では小児の先天奇形などの治療も一部行っています。表的な疾患としてはモヤモヤ病、脊髄髄膜瘤、水頭症などが挙げられます。
しかし、小児脳疾患はかなり特殊なものであるため、大部分の患者さんはその専門病院(宮城県立こども病院・仙台)に紹介し、治療を依頼しております。
⑤機能的脳疾患
三叉神経痛と顔面けいれんが挙げられます。三叉神経痛は、一側顔面の耐え難い疼痛で、突発的な激痛・電撃痛が数秒後に消失するという発作が繰り返されます。
顔面けいれんは、顔面神経という顔の表情を作る筋肉を動かす神経の障害で起こります。はじめは-側の目の周りや口の周りの小さなけいれんから次第に顔半分に及ぶけいれんへと広がっていきます。
いずれの疾患も、脳から出る神経(三叉神経あるいは顔面神経)が、頭の中で近くにある血管に圧迫されて症状をきたすことがほとんどで、神経と血管を離してあげる手術をすることで非常に高い頻度で治療効果が得られます。
当科でも手術を行っております。
☆研修医の先生方へ
一般に脳神経外科は非常に忙しいという噂があり、近年若い医学生からは敬遠されているとの報道がみられます。確かに、常に臨戦態勢で臨める気力・体力が要求される仕事ですが、それだけにやりがいがあります。疾患の性質上個人プレーで治療できるものではなく、チーム医療が大切です。よって協調性のある人間でないと円滑に仕事が進まない可能性があります。
当科では、脳神経外科的な手技に関してはもちろんのこと、全人的な教育を心掛けておりますので、やる気のある先生方の研修そしてその後の脳神経外科への入局を心からお待ちしております。
一般に脳神経外科は非常に忙しいという噂があり、近年若い医学生からは敬遠されているとの報道がみられます。確かに、常に臨戦態勢で臨める気力・体力が要求される仕事ですが、それだけにやりがいがあります。疾患の性質上個人プレーで治療できるものではなく、チーム医療が大切です。よって協調性のある人間でないと円滑に仕事が進まない可能性があります。
当科では、脳神経外科的な手技に関してはもちろんのこと、全人的な教育を心掛けておりますので、やる気のある先生方の研修そしてその後の脳神経外科への入局を心からお待ちしております。


